【プロローグ】〜築100年の古民家との出会い〜
2018年9月、田舎移住を決断してから時折覗くようになった某中古物件サイト。決まって掲載順位1位を飾るのは、のちに私たちの家となる物件だった。
それもそのはず。その物件はサイトの中で一番価格が安かった。約160坪の大きな敷地に母屋と蔵と納屋が2棟ついて350万円という設定だった。
「なぜこの条件で売れないのだろう?」
その疑問は1年後に解ることになる。
2019年9月、一先ず賃貸アパートに住みながら中古物件を探して始めた私たち夫婦は数カ所の物件を内覧するも決定打には至らず、振り出しに戻っていた。
物件サイトを覗けば相変わらず不動の1位を飾るのはあの家。なぜか目に止まるその物件。
「とりあえず見るだけ」
そう思い内覧の予約をし当日を迎えた。
2019年9月18日、田んぼの一本道を通り山へと向かう急な上り坂を上がるとその物件はあった。
・玄関は傾きなかなか開かない
・屋根が半分壊れた納屋
・汲み取り式トイレ
・五右衛門風呂
350万円の格安の理由に納得した瞬間だった。
「こりゃ駄目だ。とても住めない。」
そう思い、外観を見て回ると、
・高台の庭から見える田舎の風景
・遠くには福島のあぶくま連山の素晴らしい眺め
・立派な梁のある蔵
一見お化け屋敷にしか見えないこの古民家に微かな可能性を感じた。
その日夫婦で話し合い出した決断は、「築100年の古民家を購入する」だった。